朝日を浴びた森の中を歩いた。朝露に光る芝生や枯れ葉道を行く。12月だというのに暖かい朝だ。気がつくと、さっきまでしんしんと傷んでいた偏頭痛が消えている。自然の治癒力なのだろうか。
僕はどんどん森の中に入って行く。杉や小楢、樫の木、それから名前を知らない木々が入り混じっている。静かな森の中、振り返っても誰もいなかった。
下り坂の木道を歩いて行くと、やがて水鳥達が集う池に出た。鳥達は静かに佇んでいる。木々の上の方では小鳥達が朝の挨拶をしている。
賑やかな子供の声が聞こえて来た。保育園のお散歩の時間だ。数人の先生に連れられた園児たちとすれ違う。『おはようございます』と挨拶されて僕は曖昧な笑顔で返した。
さて現実に戻ろう。忘れていた偏頭痛がまたしんしんと痛みだした。それでも、新しい今日が始まるのだ。